最近のアスベストの騒動、何で今ごろになってという気もする。しかし、労働安全衛生法の観点から石綿障害予防規則が昨年定められ、厳しい規制が敷かれるに至って、やっとその危険性を認識され始めたというところだろう。

本書では、そのような一般の注目に応じる形で、どのような材料、建築物にどのようにアスベストが使われているかが、カラー写真をふんだんに使って説明されている。その見分け方、除去方法、家の解体時の注意など、盛り込まれている。

'70年代初頭の小学校の頃、教室の残響を防ぐ目的で天井に吹き付けられた白石綿のアスベストに、ほうきやボールをぶつけては、降り注ぐアスベストを雪などといって無邪気に遊んでいたが、あのときはかなり吸い込んでいたはずだ。

先進国であるほど建築物で生活する時間が長くなる為、地球環境のことを考えると、今後ますます建築に対する重要性が高まってくる。本書を読むことによって、現在の日本の住宅の課題である短寿命や汎用性の低さが分かる。

太陽光発電等、先進技術を取り入れるばかりでなく、伝統的な建築技術によって自然との融合を図っている。建築物を長寿命にすることの重要性や、持続可能な建築素材等のことなど多岐にわたる。日本のように比較的温暖な地域においても、断熱することによって熱損失を抑えることが重要だということも分かる。

また、子供の遊び方が年代によって変化しており、安心して子供を遊ばせることの出来る建築物の紹介もあり、子供のいる家庭にも参考になる。 建築に携わる者以外にも、住宅を買う予定の人にも参考になるので、お勧め。